神の前世 例(1)

 26のチャクラ 月のアルテミス

 月のアルテミスはとても美しく、その上頭が良く能力も高かった。アルテミスは自分が月において一番美しく、能力があると思い込んでいた。アルテミスは口数が少ないので周りの女神達からはそうは思われていなかったが、ある一人の女神がそれを見破っていた。それはイリスだった。イリスは美しさはアルテミスに譲ってもいいが、頭の良さ、能力の高さでは決して負けたくなかった。イリスは気性が激しくて、他の神々にとても厳しかったので、常にイリスは孤立していた。アルテミスは全く自分が一番ということを表面に出してはいなかったので、アルテミスのところには女神達が良く集まってきていた。イリスにはそれが面白くなくて、面白くなくて仕方がなかった。なんとしてでもアルテミスのその仮面を引き剥がしてやりたかった。イリスはそれが自分の使命のようにも思えるくらいだった。アルテミスはイリスのそういう悪意を見破っていた。アルテミスは出来るだけイリスと顔を合わせないようにしていた。しかし、イリスはとてもしつこかった。ついに二人の対決の時が来た。イリスは女神達が集まっているところで、アルテミスのいい子ぶっている仮面を引き剥がしてやりたかった。アルテミスはイリスの悪意ある攻撃にはとても耐えられないといったような顔をしてイリスに対して立っていた。イリスはこのときとばかりに容赦なくアルテミスを罵倒し、殴ったり蹴ったりした。アルテミスは一切抵抗しなかった。イリスにされるがままにしていた。それを見ていた女神達はアルテミスをかわいそうだと思った。イリスに対してもっとちゃんと抵抗すればいいのにと思っていた。しかし、アルテミスは一切抵抗しなかった。それがアルテミスの手だった。イリスはアルテミスを殴ったり蹴ったりして興奮していたので、アルテミスのそういう腹の中を読むことができなかった。イリスが殴ったり蹴ったりしてもアルテミスが一切抵抗しないので、イリスは次第に自分がやっていることが空しく思えてきた。イリスはアルテミスに対してお前はいい子ぶっているが、腹の中は分かったものではないと吐き捨て立ち去っていった。アルテミスの目はイリスに反発して光っていたが、女神達の前ではハラハラと涙を見せた。弱々しい涙ではなく、寛大な涙に見えるように。女神達はアルテミスのことをなんて寛大な女神だろうと思った。それはアルテミスの意図した通りだった。アルテミスの腹の中は煮えくり返っていた。絶対にイリスを許すものか。必ず目に物見せてやる、必ず、と心に硬く決意していた。アルテミスはどうやってイリスに復讐するかを考えに考えた。アルテミスは女神達の前でイリスに復讐することだと思った。アルテミスはある計画を練った。アルテミスはイリスを呼び出し、あなたはなんて勇気のある女神だとわざとイリスを讃えた。イリスはアルテミスが何かたくらんでいると思ったが、褒められて悪い気はしないので、いい気持ちでアルテミスの褒め言葉を聞いていた。アルテミスは下手に、下手に出た。イリスは段々図に乗ってアルテミスを攻撃し始めた。アルテミスはそれでも下手に下手に出て、イリスが図に乗るのを待っていた。イリスはますます図に乗って、我を忘れて女神達の前でアルテミスを罵倒し始めた。アルテミスは、ほらもっともっとと心の中で思いながら、寛大そうに見える優しい微笑を浮かべてイリスを見ていた。アルテミスは最初から計画していることだったので、イリスにどんなに罵倒されても耐えていられた。しかしアルテミスとイリスのやり取りを黙ってみていた女神達はもう我慢が出来ない、イリスは酷過ぎると思い、皆一斉に騒ぎ始めた。その中でもアルテミスを慕っていたヘスティアは怒りが頭に達し、熱く焼けた火箸を持ってイリスの目をめがけて突き刺した。イリスは大きな悲鳴をあげて目は焼け爛れた。ヘスティアの行動で女神達は一斉にイリスを攻撃し始めた。イリスは見るも無残な姿で死んでしまった。アルテミスはどこまでも自分は心の優しい女神でいたかったので、女神達の行動を止めるフリをした。アルテミスが止めに入っても、女神達がイリスを攻撃するのはもう止まらないこともアルテミスは知っていた。イリスはアルテミスの思惑通り女神達に殺されてしまった。女神達はアルテミスの裏の顔を知ることもなく、アルテミスを慕っていた。女神達に慕われながら、アルテミスは時を過ごしていった。そういうアルテミスだったので、目には光と闇を交互に出しながら宇宙に存在していた。

【祈りの言葉】
私は、壮大なる宇宙において、
宇宙に存在する全ての生命と調和して、
私の愛の光を与えます。


<閉じる>